甲州光沢山青松院


【心の杖言葉】

ホモヴィアトール

― フランスの実存哲学者 ガブリエルマルセルの言葉 ―  

一流の粉ひき職人を目指して少年は旅に出る
 シューベルト三大歌曲集のなかでも就中「美しき水車小屋の娘」はストーリー性の高い作品として知られています。一流の粉ひき職人を目指して少年は旅に出ます。美しい山々、清清しいせせらぎの中を歩き続け、運よく瀟洒な水車小屋を見つけて弟子入りしますが、あろうことか、親方の美しい娘に惚れてしまい、恋仲になり楽しい日々を過ごします。しかし恋敵が現れ(涙)、奪われてしまいます(悲)。全20曲の後半は、少年の心の動揺、悲しい結末へ向かう様子が時として甘美に、時として物悲しく、美しい詩と旋律とともに聞き手の心を揺さぶります。ハッピーエンドとはならず、悲しい結末を想起させる詩で奏でられる歌曲集ですが、詩の解説者が最後に「少年は果たして本当に死んだのか?」と問いかけるくだりが何か印象的です。

 さて、ホモヴィアトール(Homo Viator)という言葉。 ラテン語で旅する人、遍歴者、途上にある人、行人・・・行人なんていうと漱石の小説を思い起こしますが、とにかく旅人です。

 私たちは一人残らず「旅人」なのです。その旅は「所用の旅」ではありません。飽くなき旅、常に問うていかざるを得ない旅です。観音巡礼の行者が二巡も三巡もするのはこの消息をよく伝えています。彼らはすでに観世音菩薩と出会っているから旅を続けるのです。

 漂泊の詩人芭蕉は「旅人と我が名呼ばれんはつしぐれ」と「風雅のまこと」を求める旅に出立したと言われていますが、既に「まこと」と出会っていたのでしょう。「まこと」は誠で真事です。その「まこと」を深化させる旅でした。

 ホモサピエンス(知性の人)、ホモファーベル(工作、創造の人)はよく知られています。また近年ではホモルーデンス(遊戯の人)もホイジンガによって著されました。ホモパティエンス(受苦の人)は強制収容所の過酷な体験から生み出されたフランクル(オーストリアの精神医学、心理学者)の言葉です。

 人生というエニグマ(謎)、生老病死をはじめとする四苦八苦の大海を渡り続ける旅の途上にある私たち。その私たちにとってはとても含蓄のある言葉です。ホモヴィアトール! (令和7年4月)






【山内より】

 令和7年4月8日 本年も園児、お坊さん、ご父兄、檀信徒、皆様の御力により「花祭り」を厳修することができました。 (令和7年4月)



 8月7日(水)先祖供養法要が行われました。併せて新盆塔婆供養も厳修されました。
(令和6年8月)




 涅槃会・豆まきの様子です。 光の森こども園の良い子のみなさんは、江戸時代狩野派の文化財(涅槃図 江戸時代寛文元年・西暦1661)をお行儀よく鑑賞できました。 また、豆まきもお友達と喧嘩せず仲良く拾うこともできました。おりこうさんでした。 (令和6年2月)






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