甲州光沢山青松院

  涅槃会(ねはんえ) 

平成18年2月号


時に大地は震え、空に つづみ 鳴り、 沙羅しゃら の花は雨のように降り注いだ
(涅槃経)

  毎年2月15日は涅槃会(ねはんえ)です。全国各地区の寺院ではお釈迦様が入滅される涅槃図をかけ、観賞し、お釈迦様のご生涯や教えをしのびます。青松院でも併設の山宮保育園の園児たちが、お釈迦様が入滅される絵を鑑賞します。人間だけでなく、いろんな動物を目にすることができ、子どもたちは大喜びです。山川草木悉皆成仏、一切衆生悉有仏性。極悪非道の人もいるし、いろんな事件も起こる私たちの社会です。しかし、生きとし生けるもの、あらゆるものに仏性が宿るという涅槃経の教えはとても大切です。理想を失わないで世の中を渡っていきたいものです。

  共生(きょうせい、或いはともいき)ということがよく言われますが、臨終にあたりじつに多くの方々がお釈迦様の周りを取り囲みます。釈尊と行動をともにしたお弟子さまや在家の方々、なんと動物たちまでもが釈尊の死を嘆き悲しみます。死もまた共に体験するのです。

  お釈迦様は29歳で出家をし、35歳で悟りを開かれ(成道=じょうどう)、以後亡くなられる80歳まで行脚をし法を説かれました。その日も御説法をなされ、感動したチュンダという鍛冶工の子が調理をしたキノコを食されましたが、あいにく中毒を起こして、それがもとで死因につながります。

  なんていうことをしたのかと嘆き悲しむチュンダに、お釈迦様はいたわりの声をかけられます。 「チュンダよ、嘆いてはいけない。私が昔苦行をして身体がやせ衰えていたとき、スジャータという少女が乳粥を施してくれた。そのおかげで私は元気になり、さとりを開くことができた。今入滅にあたり、チュンダは私に食事を供養してくれた。この二人の供養の功徳は等しくまた大きい。人は何故死ぬのか。生まれてきたから死ぬのである。お前の調理した食事で死ぬのではない。生まれてきたから私は死ぬのである。」

  そして最後に「世は無常なり。そなたたちも怠ることなく精進するように。」といって入滅されたのでした。







曹洞宗光沢山 青松院
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