甲州光沢山青松院

木造十一面観音(山梨県有形文化財)


十一面観音 平安藤原中期(11世紀)の寄せ木内ぐり立像。素材は檜で高さ103センチ。 前頭部と後頭部が寄せ合わせて作られた頭部を胴体に差し込み、左右の 腕および両足首を別木で寄せた寄せ木作りである。胴体部は肉薄の完全内ぐり になっている。

顔容は慈温で、胸部、下腹部の肉付けも緊っているが、穏やかな構成である。 耳朶、天衣、足首、頭上の十一面など後補の部分もあるが、この時代の特徴を よく伝えている基調な文化財である。

昭和34年2月9日、山梨県指定有形文化財に指定される。

十一面観音
頭に「怒り」「菩薩面」「大笑」「狗牙(くが)」など人間の善悪の相を 象徴した十一の仏相を載せている。 人間の持つ多面性をとらえながら慈悲心によって洗い清められていく教えを 説いている。 同時に「商売繁盛、家内安全、五穀豊穣の守護観音として効能あり」と衆生一切の 願い事を叶えてくれる観音さまとして親しまれている。





十一面観音の脇侍


毘沙門天 毘沙門天立像(木彫 高さ106センチ)

江戸初期の作。民間信仰の中で「七福神」の一人に数えられている。 インド古代の聖典「アタルバベーダ」の中では暗黒界に住んでいる悪霊の首長と されていたが、のちにインドの二大叙事詩の一つと知られる「マハーバーラタ」で、 ヴィシュヴァス神の子クヴェラ神像と名づけられ、財宝福徳招来の善神に変身した。 日本では上杉謙信が毘沙門天信仰の代表的な武将。旗印に「毘」を染め抜いている。

毘沙門天の妻は吉祥天で、福徳を司る女神。鬼子母神の娘でもある。

十一面観音の脇時である不動明王を武田信玄が信仰し、毘沙門天を上杉謙信が信仰する というライバル同士の奇しき因縁を知ることができる。




不動明王 不動明王立像(木彫 高さ94センチ)

藤原末期の作。大日如来の下僕で如来の教えに障害あるものの命を絶つ使命を持つ。 不動とは火の中にあってすべての罪科を破壊し、動揺しないことをいう意味。 武田信玄も不動明王にあやかり、頭髪をうめこんだ等身大の不動明王座像(恵林寺蔵) を己れに見立てて作像している。

不動はつねに行者につかえ、菩提神(仏ごころ)を起こさせ、悪を断じて 善行をおさめさせながら誘導する役目をもつ。経典に「聖不動経」がある。 不動明王を本尊とする不動法は護摩をたき、十四根本印、十九布字観を加えて 修身としている。



関連項目:観音信仰と甲斐国三十三観音霊場

曹洞宗光沢山 青松院
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