ホモレリギオースス(宗教の人) 三つ違いのあにさんと〽 酷暑が続くなか、県外から観音様を拝観しに来られる方がおられます。 観音さま(観世音菩薩)はたいへんご利益のある仏様ということで、今日でも多くの人々の信仰を集めています。 お里沢一の物語は壺阪霊験記で夙に有名です。 目の悪い沢一は毎朝明けるか明けないか、そのころになると、美人で気立てもいい妻のお里がどこかへ出かけていく。身体の不自由な自分に愛想をつかし、他にいい男ができたのではないかと気が気でない。ある日、意を決して妻に言う。誰か別に男ができたのなら正直に言ってくれと。妻は驚き打ち明ける。実は、あなたの眼が見えるように、壺阪の観音様に願をかけに毎朝早朝、出かけていたのだと。沢一は自分の疑り深さを非常に恥じて、ある日谷に身を投げる。それを知ったお里も後から追うように身を投げる。 観音様のご利益か、なんと二人とも奇跡的に救われ、沢一はしっかり見えるようになり、以後夫婦仲睦まじく末永く暮らすようになったということです。文楽、浄瑠璃で有名な壺阪霊験記は簡単に言うとこんなお話です。 奈良県高取町にある西国観音霊場第六番壷阪寺にまつわる話です。 ・・・いつか霊場巡りをしていたとき、男性の紳士、ある巡礼者が「いやあ、すごい話ですね。私は視力はよいのですが、あることが原因で心眼が曇ってしまい、このお寺にお参りするようになったんです・・・」などと自分の悩みを語り始めました。 もう少し話が聞きたかったのですが、残念ながら私たちのバスが来て別れてしまいました。あの男性はその後どうされていることやら・・・ 巡礼者ホモヴィアトール、悩む人ホモパティエンスは、またホモレリギオーススでもあるのです。 (令和7年7月)