【心の杖言葉】 「時時の初心忘るべからず」 ― 花鏡 ―
人口に膾炙した言葉では「初心忘るべからず」ですね。結婚式での新郎新婦へのスピーチなどでよく耳にします。が、能という芸術を求道した世阿弥は、未熟な時は未熟なりの初心、熟練者は熟練者の初心、あくまでもステージ、ステージにおいての初心を説きます。初心はコロモ偏に刀とこころ。過去、シガラミをバッサリ断ち切り、新たな生命への出立です。 「あらた」は「生らた(アラタ)」が起源とも。世阿弥は、老後の初心忘るべからず、とまで言っています。 命には終わりあり、能には果てあるべからず
求道者としての世阿弥の面目躍如です。禅仏教でいう「而今」「全機」とも無縁ではありません。 (令和5年1月) 「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった」(病床六尺) 「放てば手に満てり」(弁道話) 「仏道を習うというは 自己を習うなり」(現成公案) 「道は虚にとどまる 虚とは心斎なり」(荘子・人間世篇) 「至人之用心若鏡 不将不迎 應而不蔵」(荘子・応帝王篇) 「壺中日月長」 「少くして学べば 壮にして成すあり」(言志四録) 「而今の山水は古佛の道現成なり 朕兆未萌の自己なるがゆゑに現成の透脱なり」(山水経) 「過則勿憚改」(論語学而) 「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、その貫道するものは一なり」(笈の小文) 「岐路こそまさに愛すべし」(楊朱) 「朝(アシタ)に道を聞かば 夕べに死すとも可なり」(論語 里仁から) 「億劫相別而須臾不離(億劫に別れて須臾も離れず)」(大燈国師) 「苦悩を貫き 歓喜に至れ」(Beethoven) 「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」(傘松道詠) 「よろこびは ひゃくぶんのいちの しんいっぽ」(虚仮子) 「人生はいばら道、されど宴会」(樋野興夫) 「念ずれば花ひらく」(坂村真民) 「生きるとは 死ぬときまでの ひと修行」 「為君幾下蒼龍窟(君がため幾たびか下る蒼龍窟)」 「衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)」 「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。」(吉田兼好) 「希望 工夫 気迫 感謝」(松原泰道) |
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